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精油は数が多くなると消し合う・拮抗するのか?という疑問

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2025.05.17

精油は数が多くなると消し合う・拮抗するのか?という疑問
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精油は数が多くなると消し合う・拮抗するのか?という疑問

精油は数が多くなると消し合う・拮抗するのか?という疑問

今月は精油ブレンドに関する無料勉強会を開催し、みなさんからのさまざまなご質問や疑問にお答えしている時間をご一緒しています。今回は100名を超えるみなさんのご参加と、いろいろな角度からのアロマセラピーや精油に関するご質問を事前にいただき、お答えしきれなかったため、また6月14日土曜日の10時から開催します。
(インスタグラムもしくは添付リンクからお申し込みできます!)

開催後に、参加者の皆様から色々とメールなどをいただいており、
その中で、多くの方が疑問に感じているのではないか?というご質問をピックアップしたいと思います。

「ご質問」
6種類以上の精油を混ぜると、消しあったりわからなくなったり、拮抗作用が生じるというと聞いていますが、本当ですか?

「お答え」
このお話は、ご質問をいただいた方に向けて無料勉強会の中でもみなさんと一緒にお話をした内容ですが、「本当のところどうなんだろう?」と思いますよね。


少し一緒に考えていきましょう。

精油は混ぜると消し合い拮抗するのか?情報の出どころを探る

まず、私たちが精油や香りを感じたり考える上で1つ立ち止まって確認しなければいけないのが、その情報の出どころです。

先生が言っていたから、みんながそう言っているから、誰かに聞いたから。このような情報は、その人だけが感じている可能性もあり、もしかすると同じことを自分自身も感じていることもあるかもしれないし、全く違う感覚で感じているかもしれません。

「なんとなく」はあっていい感覚であり、大切に保っておいた方が良い1つの感覚でもあります。しかし、だからといって、アロマセラピーや精油を学ぶ時は、化学や目に見える情報ばかりを暗記したり追って、何に良いとか、なんの作用があるなどということが多いですよね。
さて、学びの中で感覚はどこに行ってしまっているのでしょうか?

そうなると、急に感覚は「個人」の感覚だけになってしまい、
その感覚がみなさんの何で形成されているのか?心身のどこがそのように判断したり感じたりしているのか?ということは抜けてしまい、
「精油」だけの学びや、「活用」だけの学びをそこに無理やりくっつけて考えるといった流れになります。

もともと心理学的観点では、学問としてもともと嗅覚の学びは入っていませんし(逆に嗅覚は本能的・動物的であるとして排除されてきた歴史もある)、心理学観点から嗅覚と香りを述べる専門家はとても少なく、それが実際のリアルの現場や人でどうか?と考えると、これまでそうされてきたわけではなく、これは「これから」の分野です。

この実際は、研究やエビデンスを探っていくと明らかに辿り着く場所です。それだけそのようなエビデンスや研究を目にすることは大変難しく、実際に行われている例が本当に少なすぎて、まだまだ専門性を認めてもらうことが難しい分野です。

だからこそ、私たちはまず「精油」を有効的に活用したいと願う1人として、その情報のあり方や取り方に関して、「感覚とエビデンスや研究」をバランスよく比較したり捉え、その両面から説いていけるように努力するべき専門家を目指すことが、本来私たちが願っている場所に進ことの1つとなると思います。

そして、精油ブレンドもこのような目的の1つとして存在します。


心理学的観点では、学問としてもともと香りや嗅覚の学びは入っていませんし(逆に嗅覚は本能的・動物的であるとして排除されてきた歴史もある)、心理学観点から嗅覚と香りを述べる専門家はとても少なく、それが実際のリアルの現場や人でどうか?と考えると、「これから」の分野です。嗅覚の研究が初めてノーベル生理医学賞を受賞したのは2004年であり、つい最近と言えますよね。

研究やエビデンスを探っていくと、このような事実は明らかに辿り着く場所です。それだけ香りや嗅覚の観点としてエビデンスや研究を目にすることは容易ではなく、実際に行われている例が本当に少ないため、まだまだ専門性を認めてもらうことが難しい分野です。だからこそ、チャンスもある分野ですし、研究の扉を開くことで進むことがわかります。

私たちはまず「精油」を有効的に活用したいと願う1人として、その情報のあり方や取り方に関して、「感覚とエビデンスや研究」をバランスよく比較したり捉え、その両面から説いていけるように努力するべき専門家を目指すことが、本来私たちが願っている場所に進ことの1つとなると思います。そして、精油ブレンドもこのような目的の1つとして存在します。

精油は消し合うと感じた時点で混ぜるべきではないと思います。それは嗅覚で捉えるときに香りのバランスも悪いということを感覚が示しています。文字でどんなに良いと思えても、実際にその香りが最終結果であり、感覚的にそれが文字を上回ることはありません。
もしそれが上回ることがあるとしたら、それは押し付けたり無理やり有効性を文字で説得する場合のみです。しかし、それは本来の香りの働きに反しています。

2種類以上の精油に関して拮抗作用がある点は、研究やエビデンスとしてしっかりと示されていないということと、
「なんとなく言われている」という範囲をどれだけ超えることができるか?であり、多くの場合に精油の化学や成分で議論されているとしたら、ここだけ急に感覚的な判断になるのもおかしいですよね。

「拮抗する」・「消し合う」という考え方は、合成化学では大切な考え方でもありますし、これが消臭の考え方にもつながります。ネガティブな文字に聞こえますが、実際はあくまで「化学成分として別のものに変化する」「嗅覚の感覚値としてわからなくなる」ということを意味していると思います。特に消し合うは、それぞれの感覚でしかありません。

化学成分として他のものに変化した場合に、必ずしもそれがネガティブなものとは断言することはできず、そのような1つずつの実際のデータベースがない中で、言葉が走っています。

感覚的に消しあった結果の香りが好きな人もいる場合、それはどう説明するか?ということです。消しあったというのは何で定義しているのでしょうか?消しあった結果が良ければ、それが良いブレンドになることもあるということです。

あくまで、いくつかの精油例えばゼラニウムを活用するときは、パラセタモールの服用者は避けるなどの例は既にありますが、
これは精油をブレンドした際に拮抗する・消し合うといった香りの感覚値とは違った情報として整理が必要ですよね。

私たちは、精油をブレンドしたり組み合わせるときに、
あまりにも文字や化学だけになりすぎたり、
あまりにも感覚的だけになりすぎたり、
これはどちらも欠けている部分が生じています。
特に感覚だけでブレンドする場合の成分特性的な危険性は見落とされていることが多い状態で市販されています。

「香りが良いことと、安心して使える(危険性をどのように回避できるように調整できているか)」という両方の視点がバランスよく自分の判断にあることが、「精油ブレンド学」としての本来の目標です。

そしてその知識やスキル、判断力をどのように養うか?が本来の精油ブレンド学の学問であり、感覚とスキルが伴うにはある一定の時間と期間が必要となると思います。

メディカルアロマセラピーという言葉が走るとき、
みなさんは精油をどのように使うことを定義しているか?ということも、しっかりと自分に問いかけることが重要です。

私が1997年からアロマセラピーを学んで継続している中で、
メディカルアロマセラピーという言葉の把握としては、
日本やアジア独自の方法で造語に近く、国際的にはこういったアロマセラピーはメディカルには入りません。

病院やクリニックでアロマセラピーを実施することを「メディカルアロマセラピー」とは呼びません。病院でもクリニックでも、そこで実施されているのは、メディカルな行為ではなく補完療法のアプローチとしての「アロマセラピー」です。アロマセラピーAromatherapyはAlternativeではなく、Complementary Therapyとして位置付けられていることを見ると、ここは明白にわかります。

フランスやドイツなどで発展してきたアロマセラピーは、歴史的にも化学的治療法の1つの可能性として活用されてきた流れもあり、英国などとは違った活用の歴史をたどります。そしてそこには「芳香を楽しむ」といった観点ではない、より機能性や化学成分などに重点をおく学びがあります。

英国やオーストラリアなど、アロマセラピーは「芳香療法」の定義であり、そこに嗅覚の捉え方や生理の学びが大事になります。
そして個々におけるケアと結びつけるといった点で、主にマッサージケアと結びついてきています。

この点がアジア各国でもごちゃ混ぜになって翻訳して伝えられ、捉えられてきた歴史があり、その結果として言葉がわかりにくくなっていると感じています。少なくとも、私自身が28年間のこのアロマセラピーの分野の流れで感じてきた、「混乱」の原因がここにもあると認識しています。

何かが良い・悪いの文字なのか?

精油の専門書を見ると、気づくことがあります。
その研究や実験は多くがマウスやラットの実験で、直接精油を注入していることがほとんどであること、そして香りを感じる「嗅覚」の研究ではないこと、そして人間に置き換えるとその使用量は莫大な容量になるということです。

さらに、精油の活用に関しても、温度や環境、使用法によってその揮発性や活用も異なってくること、また精油の化学的な観点で述べられている精油も、通常アロマセラピーのケアで活用する上ではほとんど使用しないような精油が危険性として挙げられていたり、実際にはそのような精油は「香り」は特段好む人がいないほどに特徴的な香りを保持したりするものが多くあるということです。

そうなると、普段使用しないものばかりの情報を得て、精油を使用することが臆病になり、普段使用する精油も感覚的にも使えなくなってしまったり、頭が凝り固まって、枠にはめた精油の活用しかできなくなってしまうという結果です。

実際にこの精油は、******に働きます。というとき、
本当にそうですか??
それはどうしてそう言えるのでしょうか。
自分に説明ができますか?

自分の感覚を忘れない香りと文字の学び方

私たちは、香りを学ぶときに、あまりにも目に見えない感覚だからこそ、何か文字や形や枠組みに頼って覚えてそれを使おうとします。
そのほうが早く、資格としても示しやすいです。
そして学ぶ上では、その経過も大切な経過です。

しかし、それは序章に過ぎず、次に待っているのが、その学んだものをリアルにすること、そしてその香りを感じている精油は嗅覚としてどのように私たちに影響を与えているか?といった機能と繋ぎ合わせて模索することです。本来の目には見えない人間の感覚の学びに入っていきます。

私は英国で学んだ後に、このような学びが必要だと気づくのに時間がとてもかかり、試行錯誤しながら私自身もその部分に怯え、迷ってきた1人だと思います。

しかし、蓋を開けてみると実際の「人間に使用する」「人間の嗅覚で感じる」場合の学びが、「これからの分野」であることを知り、
さらに、拮抗作用はエビデンスがなく、芳香療法として捉える部分の要素としては、少し情報としても弱いものばかりであることがわかるようになりました。これは私たちがアロマセラピーに専門性を求める上で、弱い部分であるとしっかり認識すべき部分であり、それをどうできるか?が前に進むことになります。決してネガティブなことではありません。足りない部分を埋めるように挑戦していかないといけないというのが、専門性を求める私の考え方です。

これは歴史的に、まず精油の成分主体を学ぶことがアロマセラピーとされ、香りと人との関係性を説かれてきたわけではないということにも原因があるかと思います。そのため、研究もあくまで精油自体の薬理や化学成分に焦点が当たってきました。しかし人にどう働くか?が見えないと、それは結果的には「働いた」とは言えない結果となるかと思います。

このような科学的な観点からの机上の空論と実際の結果が異なることで、研究を継続しなくなってきた歴史もあるかと思います。
逆に私自身が携わっている検証も含め、嗅覚や感覚値を調べる研究の方が、良い成果を挙げていると感じています。医学部で研究していたときも、アロマセラピーを知らない先生たちに受けたツッコミも役に立っています(笑)。

精油をどのように捉えるか?の角度で、認識や理解、また活用法が変わるのはとても「自由」な部分でもあり、香りの幅だとも感じています。
香りにきまりを作れば作るだけ、おそらくただその人自身の幅が狭まるだけで、見えないものをコントロールしようとすればするほど、わからなくなるのが実際のなのではないかと思います。

しかし大事な機能を持つ嗅覚をそこの核になっているのが面白いなぁと常日頃思っています。私たちは、「精油が人に何らかの影響を与える」と考えているからこそ、情報の取り方や考え方、そして認識や確認方法なども、今後いろいろとあらためて考えていかないといけないということですよね。

28年経った今も、進んでいる部分と変わっていない部分が混在して伝えられ、実際には錯綜する情報は変わらずで、最後は自分でどこを見る目を養っていくか?によって、自分が実践したり活用したり、そして処方し製造などを行う精油や商品、そして一般の市場へのアプローチが変化してきました。まだまだ道半ばであり、学びたいことや知りたいことがあり未熟さを感じる毎日ですが、ぜひこれからもいろいろと角度を変えた精油や嗅覚のテーマでまた何かあればご意見をいただけると幸いです。

「精油は混ぜると消しあったり、拮抗するのか?」
文字では消しあっている・拮抗していると思うのに、
香りは驚くほどに素晴らしい香りを放っている
その時どうする?

「混ぜとからわからなくなる」
というのは、混ぜてる本人がわからなくなるだけなのではないか?

そんな自分へのつぶやきを整理しながら、あくまで精油の活用の幅と角度を広く捉えることができる知識と判断を養っていきたいですね!

この記事を書いた人

アネルズあづさ

アネルズあづさ

執筆者プロフィール

医学博士
株式会社Blue ink代表取締役
グローバルオーガニックフォーミュレーター
プロフェッショナルアロマセラピスト
クリニカルマタニティアロマセラピスト
自律神経バランスアロマセラピープロフェッショナル
東海大学体育学部体育学科卒業
弘前大学大学院医学研究科産婦人科学

日本薬科大学講師
日本アロマセラピー学会自律神経部会部会長
日本アロマセラピー学会国際部会部会長